恐怖のあだ名

「じゃー、とりあえず部屋いこか」
 金髪に促され、棟の入口上部の壁に、緑色のポスターカラーで「C」と殴り書きされた通路へと誘われた。
「そういや名前まだやったな、俺、山田って言うやけど、寮ではおはぎって呼ばれてるからよろしくな。たいした意味はないねんけど。」
 見た目となんの脈絡もないあだ名に当惑しながら薄暗い廊下を進んでいくと、ガムテープがベタベタ貼られた薄汚れた扉に突き当たった。
 おはぎと名乗った金髪男が勢いよく扉を引き、「新入生きたで〜!」と声を張り上げた。しかし中からは反応がない。あれ、おっかしーな、と金髪が首を傾げてズンズンと進んでいくので、私は慌てて後について中に入った。

 扉の奥へと続く薄暗い廊下には汚れたTシャツやらコピー用紙やらが足の踏み場もないくらい散らかっており、奥に向かって部屋の入り口らしき空洞が左右に連なっている。空洞というのは、個室の扉が全て取り外されて入り口だけになっているからだ。
 金髪に促されて、左手の手前から2番目の部屋に通されると、部屋にはボロボロの畳と、しなしなで中身のバネが所々見えてしまっているマットレスがびっしりと敷き詰められており、1番手前の部屋との壁がぶち抜かれて2部屋分の広さの大部屋になっていた。部屋にはえんじ色のちゃんちゃんこを来た男が背を向けてあぐらをかいており、黙々とファミコンスーパーマリオブラザーズをプレイしていた。当時はPS2ゲームキューブの時代だったので、一瞬状況が掴めなかった。
「シンヤさん、新入生すよ」
「ごめん、今ちょっといいとこ」
 ちゃんちゃんこの男はしばらくガチャガチャと忙しなくマリオを操作していたが、ハンマーブロスに頭をかち割られると「あああ」と横に敷いてあるマットレスに突っ伏したまま固まった。
「この人がシンヤさん。7年目でこの部屋の長老。」
 7年目の意味がわからなかったが、とりあえず「よろしくお願いします」と固まった背中に向けて声をかけてみた。反応はない。ボサボサの髪に無精髭、小汚い羽織と典型的な浮浪者のいでたち。18歳の私からするとかなりのおじさんに見える。本当に私と同じ大学生なのだろうか…
「あんどう〜、荷物とってきてやったぞ〜」
廊下の方から声がした。声の主は、先ほど部屋決めの時に金髪とコントをしていた男だった。入寮前にあらかじめ送りつけていた家財道具は、他の新入生たちの荷物と一緒に先ほどのホールにまとめて山積みにされていた。約100人分の荷物の中から見つけ出すのは骨が折れるなとうんざりしていたが、彼が気を利かせて引き取ってきてくれたらしい。大宮と名乗るその先輩は私の文学部の2年、先ほどの金髪のおはぎさんは工学部の3年、そして浮浪者風のシンヤさんは文学部の4年とのこと。
「先ほどシンヤさんが7年目というのは…?」
「ああ、3回留年してるから大学に入って7年目ってこと。今年は休学みたいだからすでに8年確定。まぁ俺も去年留年したからあんどうと同じ1年だけどな。教養の単位は色々とお世話になるからよろしくな。ガハハ」
と、大宮さんが手早く身の内を説明した。おはぎさんも4年目らしいので今のところ登場人物が留年者しかいない。大丈夫かこの部屋は…
「じゃー、せっかくやしお前のあだ名でも決めるか!」おはぎさんがニヤニヤしながら話を振ってきた。
「高校時代はなんで呼ばれとったん?」
「いや、普通にあんどうですけど…」
「つまらんやっちゃな、下の名前なおっちゅーんやな。じゃオナやな」
「それは流石に可哀想でしょ、伸ばしてオーナーとかどうすか」
「そりゃえぇな!じゃオナ部屋の向かいの部屋に住まわして管理人ちゅう設定にしよか」
軽快なテンションでとんでもない決定がなされてしまった。
「イントネーションはオー↑ナー↓じゃなくて、オー↓ナー↑やで」
謎のこだわりを言い残しておはぎさんは部屋の奥へと消えていった。


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前門の虎、後門の狼

 私の淡い期待は脆くも崩れ去った。全寮放送を聞いて集まった顔ぶれは、先ほどの回で新入生を捕獲できなかった「はずれくじ」の面々だった。
 前回の反省を踏まえたつもりなのか、それぞれの部屋は趣向を変えた一芸を披露してきたが、どれも付け焼き刃の生煮え状態で仕上がっておらず、グダグダ感を一層増していた。
 新入生を獲得しようといきり立つ群れの中に、先ほどは見かけなかった男がいた。男はニキビの目立つ蒼白い顔で、不健康に痩せていた。男の横には例の座敷童子が立っており、不機嫌な顔をして男の腕を掴んでいる。どうやら彼女が男を部屋から連行してきたようだ。やがてその男の部屋紹介が始まった。

「あの…個室です。1人だけ受け入れます…静かに暮らせる人だけお願いします」
男は自分の部屋を全くアピールすることなく、終始嫌そうな顔をしてプレゼンを終えた。座敷童子が私の方を見て、男に指差す仕草をしている。「お前が個室を希望するからわざわざ連れてきてやったぞ」というメッセージを感じ取った。私は事前に配られたパンフレットにあった、シャープペンシルの薄い文字を思い出していた。十中八九あの部屋紹介を書いたのは彼に違いない。合同部屋も嫌だが、あの死神のような男と共同生活も同じくらい勘弁願いたい…。座敷童子の好意には感謝するが、それにしても対案が極端すぎやしないか。私は絶望したまま後に続く部屋紹介を上の空で聞き流していた。
 全ての部屋紹介が終わり、いよいよ部屋選びの機会が訪れた。正直どの部屋にしたいという目星が全く付かない。狼狽える私のことなどお構いなく、「よーい、スタート!」と火蓋が切られた。私の予想に反して死神のプラカードは取り合いになり、最終的に背高の男がひょいと上からつまみ上げた。その後もよりマシな部屋、マシな部屋とプレートは取られていく。私が優柔不断で決めかねているうちに私以外の新入生は首尾よく部屋を決定し壇上から降りていった。私は1人取り残され、部屋の選択肢は残り2つになってしまっていた。2枚のプラカードには「寮歌部屋」「スポーツ愛好会」と書かれていた。どちらの部屋も芸はずば抜けてスベっていて、絶対に選んではいけないジョーカーだった。この2択になるくらいなら適当に他の部屋を取るべきだった…後悔しても後には引けない。どちらかを選ぶまでこの場は収束しないことを覚悟した。寮歌部屋の方は上下をスウェットに身を包んだ金髪坊主ピアスのヤンキー風細マッチョ。満面の笑みの奥に潜む切れ長の目が恐ろしすぎる。スポーツ愛好会の方はラガーマンのやうな筋肉デブで釣り上がった目と厚い唇がキングボンビーを彷彿とさせた。金髪も恐ろしいがキングボンビーははるかにやばいオーラを放っている。絶対話が通じないし、人が嫌がることを快楽に感じる価値観が倒錯しているタイプに違いない。そんな不吉な予感に肌を粟立てていると、金髪が笑顔をふと真顔に変えて「早う決めい」とやんわり圧をかけてきた。私は気圧されて思わず寮歌部屋のプラカードを掴んでしまった。
 金髪はまた薄ら笑いに表情を戻し「よう来たなあ!よろしく」と力強い握手を交わしてきた。その代わり身の早さを恐ろしく感じていると、どこからともなくハキハキ声がやってきて、「いやぁお前当たり引いたよ!一番面白い部屋。みんな優しいから安心しな」となんの足しにもならないエールを送ってきた。そもそも寮歌ってなんだよ…こうして私の寮生活は全く想定外のスタートを切ったのだった。


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お粗末な詐欺師

今目の前で起きた一連の出来事をうまく咀嚼できずに呆然としながら列の進むに任せていると、私の入寮説明の番が回ってきた。通された机には小柄で短髪の女性がボロボロのちゃんちゃんこを羽織って肩を丸めて座っていた。そのあからさまな座敷童子スタイルは狙ったものなのか素でやっているのか分からないが、一応先輩らしい。どうぞ座って〜とフランクに話しかけてきたものの、いざ具体的な説明の段になると顔を真っ赤にしながら裏返った声で要領を得ない話が続いた。
彼女は机の上に丸出しにしたカンペを見ながら「要するに、入寮イコール入自治会ってことになってるので、ここにハンコを押してほしいんだよね。」と告げた。これが詐欺師だったら下手くそすぎるだろう、と戸惑ったが選択の余地がなさそうだったので誓約書に判をついた。聞こえる音でほっとため息をついた座敷童子は急にシャキッとして「よし、これで君もうちらの仲間入りってことでよろしくね!」と満面の笑みを見せた。
新入生紹介雑誌に使うからと間の抜けた顔写真を撮られた後、座敷童子に連れられて一階の事務室に連れられた。事務室には自分の前に並んでいた新入生が7、8人押し込められていた。部屋の奥には天井に届くくらいの巨大な機械が据え付けてあり、この機会で寮全体に放送を流せる、という説明を受けた。マイクの使い方と自己紹介で伝えるべき内容をレクチャーされると、座敷童子が全量放送を始めた。
「寮生の皆さんこんにちは。こちらは入寮管理委員会です。活きのいい新入生がたくさん到着したのでこれから自己紹介を始めてもらいます。」
事務室に来た順に自己紹介を終え、最後の1人が私だった。座敷童子から「ガツンと言っちゃえ!」と謎のエールを受けてマイクを手渡された。恐る恐る「こんにちは」と言うと自分の声が全寮に響き渡り、その迫力に怖気付いて頭が真っ白になってしまった。数秒固まったが生唾を飲み込んでなんとか自己紹介を続けた。「ほ法学部1年、あ、ああんどうなおです。しゅ趣味はゲームです。こ個室を希望します」カミカミになりながらなんとか最低限の情報を伝え、マイクを乱暴に座敷童子に手渡すと、彼女は眉毛をハの字にして露骨に残念そうな表情を浮かべていた。
「合同部屋も楽しいよ」
彼女はそう未練がましく呟いた。
合同部屋というのは全ての空間を共同利用するスタイルの部屋のことで、一人一人のパーソナルな空間を持たず、勉強机だけある部屋、ベッドだけある部屋、と用途別に部屋が使用されているより共同生活を濃密に味わえることが魅力らしい。先程のクレイジーな部屋紹介をしていた面々は軒並み合同部屋ということで大体のイメージは残念ながら掴めた。それを踏まえて個室と宣言したのに、何故か私の方がセンスない扱いをされている感を出されて心外だったが、きっと彼女は生活の中で洗脳されてしまった憐れな子羊なのだろうという理解をして、部屋決めをするホールへと歩みを進めた。どうか個室の部屋が数多く取りに来てくれますように…


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人身売買

入寮前の、穏便な生活を確保したいというささやか願いは、寮に足を踏み入れて30分も立たないうちに打ち砕かれた。玄関先でまごついていると、上級生らしき人物に声をかけられ、促されるままホールの二階へと連れていかれた。二階の廊下には、よそ行きの格好をして一様に不安げな表情を浮かべた、大量の新入生とおぼしき一団が列をなしていた。
「先に入寮手続きをしてから部屋決めするからね。」
案内してくれた上級生はそう言って階段を降りていった。
 ホールは吹き抜けになっていて、一階の様子が廊下から窺える。巨大な木製の舞台だけが真ん中に鎮座している。一体何に使うのだろうと訝しく眺めていると、館内放送からハキハキとした声が流れてきた。
「入寮管理委員会です。いまから新入寮生が自己紹介をしますのでよく聞いてください。」
続けて新入生がか細い声で、出身高校や趣味、希望する部屋の雰囲気をボソボソと喋っていた。7、8人の自己紹介が終わると、最初に喋っていたハキハキ声に手番が戻り、
「以上となります。取りたいと思った部屋は共用棟に集まってください。」
と告げた。
 程なくして自己紹介をした新入生がハキハキ声の男の先導でホールへと連れられ、先ほどの舞台に登るよう促されている。すると、全員が登るか登らないかといったうちに、各棟からドヤドヤと男たちがホールに集まってきた。その男たちはなぜか、大半がなんらかの仮装をしているか小道具を手に持っている。ひとしきり頭数は揃ったのを見計らって、ハキハキ声が咳払いをした。

「皆さんお揃いのようなので、部屋決めを始めたいと思います。新入寮生にはもう一度自己紹介をしてもらって、それから各部屋のアピールをしてもらいます。その後各部屋の代表がプレートを持って近づくので、君たちはそれぞれの部屋のアピールを聞いて、入りたいと思った部屋のプレートを早い者勝ちで掴んでください。」
私はその部屋の決定方法を耳にして唖然とした。なんとまた乱暴な。舞台はいくら大きいとはいえ、今登っている人数でぎゅうぎゅうになっていて、身動きがとりにくそうにみえる。ホールには集まってきているプレートの数を数えると、ざっと20部屋ほどありそうだ。そのプレートが一挙に押し寄せてきたとして、自分の希望する部屋のプレートを首尾よく掴めるか、かなり不確定要素が大きい。運悪く舞台の端に立ってしまい、希望する部屋が逆サイドに陣取っていたらおしまいである。
 新入生の自己紹介が終わると、各部屋の紹介が始まった。そこで私はさらに衝撃を受けた。一つ目の部屋が何やら急にコントを始めたのである。しかも猛烈に面白くない。セリフはカミカミで、テンポも悪く、筋書きが全く見えない。と思ったら、
「一緒に楽しい生活を送ろう!」
と唐突に終了した。同じ部屋の住人らしき一団が後ろの方で「よっしゃ〜!」と謎の合いの手を入れている。何がよっしゃーなのかさっぱりわからない。そして肝心の部屋の説明が一切なされていない。なのになぜかコントを終えた寮生は満足そうな表情を浮かべている。
 次の部屋はさらに衝撃を受けた。次の部屋もコントを始めたのだが、なんと私よりも早い時間帯で入寮した新入生が演者として登場させられている。
「こんなに楽しい先輩たちがいます!君たちもぜひ一緒に楽しもう!」
ぜひとも勘弁願いたい。その後の部屋も、ほとんどがなぜか一芸を挟んでの紹介方法を採用していた。やばい、どの部屋も入りたくない…部屋紹介パンフレットを読んだ時の不安が一層増幅した。私以上に舞台に上らされている新入生の方がドン引きし、絶望している様子だった。
 そしていよいよ部屋決めの瞬間が訪れた。「危ないから押さないでくださいね」というハキハキ声の事前の忠告も虚しく、合図とともに無数の段ボールの波が新入生を襲った。「こっちへ来い!」と怒号が飛び交う様はさながらバーゲンセールのようであった。もっとプレートの獲り合いになるかと思っていたが、新入生も情報量が多すぎてどれがなんの部屋か識別できず選びかねているように見える。そもそも前段の芸が意味不明すぎて、目当ての部屋をあらかじめ絞りようががないのだが…
 やがて一人、また一人と汚物でもつまむかのごとく、不本意そうにプレートを選び、選ばれた部屋の喝采と、選ばれなかった部屋の溜め息がホールに響いた。新入生を迎え入れて浮き足立つ寮生たちに引きずられるようにして、哀れな仔羊たちが各棟へと吸い込まれていく。その様を見て、私の前に並んでいた男が不吉な一言を呟き、私の背筋を冷やした。

「人身売買だな…。」



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エイプリルフール

 今、私の目の前には、ダンボール製のプラカードが二枚差し出されている。一つには「寮歌部屋」、もう一つには「スポーツ愛好会」という文字が殴り書きされている。そのプラカードを持つ男二人は、どちらも屈強な身体を誇らせながら、不気味なまでに満面の笑みを浮かべ、「こっちに来い」と手を差し出している。このどちらかの手を選ぶしか本当に選択肢は無いのか。あまりに唐突で想定外の展開に頭が追いつかず、しばらくの間呆然と立ち尽くしていた。
 このどちらかの手を選んだ瞬間から始まる奇妙な共同生活。そのあまりにも現実味のない4年間は、冗談にしてはあまりにもタチが悪いけれど、1年で唯一嘘をついていいとされている日から始まったのだったーー

 ーー滾青寮(こんせいりょう)は寮生によって運営される自治寮です。

 事前に送られてきた入寮パンフレットにはそのように記載されていた。共に住み良い環境を形成するために、寮生同士の民主的な話し合いを大切にし、自らの手によって運営される寮。男女合わせておよそ500名ほどが生活しているという、破格の規模を誇っている。パンフレットをいくら読んでも今ひとつ現実の話として想像の難しい内容が多く、実際に住んでみないと細かい話はわからない、と精読するのは早々と諦めていた。
 私が滾青寮に入寮することを決めたのは、完全に親の意向だった。というか、申し込んでいたことすら知らなかった。農業高校卒と商業高校卒という牧歌的な夫婦だった両親は、自分たちの息子が大学進学を希望することは想定外だったようで、私も出来るだけ親の負担は減らそうと、親の意向に素直に応じた。家事は親に任せっきりだったので、自活できる見通しも意欲もない。
 ただ一つ、強く懸念していたことがある。それは、どの部屋に入れるか、ということだった。部屋といっても、この寮では10の個室と共用のキッチン、トイレを1セットにして「部屋」と呼ぶようで、要するに生活空間をシェアする小単位のことを指すらしい。部屋ごとに運営ルールがあり、距離感や気の合う者同士で共同生活を営む、ということなのだろう。その10人一部屋が各フロアに2つ、階は5階まであり、それが5棟もあるのだから、単純に計算して50種類の「部屋」がある。そのどれに入れるかによって生活の快適さが大きく変わりそうだ。
 その不安をさらに煽るのが、パンフレットの別冊として付いていた各部屋の紹介だった。その冊子には、それぞれの部屋の住人が自分の部屋の特徴を思い思いにしたためてあった。その内容のどれもが一様に漠然とした不審館を抱かせるものだった。ヒッチハイクでダーツの旅、朝まで麻雀、プロテインで肉体改造…住人達には魅惑のフレーズなのかもしれないが、全く心惹かれない。新入りを歓迎する意図が本当にあるのか疑わしい。
 せっかく寮に入るのだから、全く交流が無いのも味気ない気がする一方、こういったガチ勢に飲み込まれるのだけは断固として避けたい。何とか適度な距離感でぬるくやっていける部屋はないものか・・・焦燥感に駆られてページをめくっていくと、ジャンクな情報の山の中に、「まったりテレビゲーム」とだけ書かれた部屋を見つけた。薄いシャープペンシルの文字が心許なかったが、エクストリームな生活をしている人ばかりではなさそうだ。なんとか穏当な部屋に滑り込みたいという切実な思いで、その蜘蛛の糸のように細い字を、私はもう一度凝視した。

続き

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